AIチャットボットの作成ツールである「Dify」が注目を集めています。
Difyは、AIチャットボットやアシスタントを簡単に作成できるプラットフォームです。
Difyを使えば、プログラミングの知識がなくてもカンタンにチャットボットを作成できるのが最大の魅力です。
本記事では、Difyの概要から環境構築、チャットボット作成手順までを初心者向けに解説します。
WebブラウザとローカルDockerでの利用方法の違いも紹介するので、AIに興味があり、チャットボットを作ってみたいという人はぜひ参考にしてみてください。
Difyとは?特徴や料金プランを紹介
まずはDifyについて簡単に紹介します。
Difyの特徴や利用料金は以下のとおりです。
- Difyの特徴はノーコードでAIアプリを作れること
- Web版の料金プランは3段階、無料プランもある
それぞれについて説明します。
Difyの特徴はノーコードでAIアプリを作れること
Difyは、AIチャットボットやアシスタントを簡単に作成できるプラットフォームです。
プログラミングの専門知識がなくても、直感的なインターフェースと豊富なツールを利用して、カスタマイズ可能なチャットボットを作成できます。
Web版はクラウドベースで手軽に利用できる一方、ローカル版は高度なカスタマイズとデータプライバシーを重視するユーザーに適しています。
Web版の料金プランは3段階、無料プランもある
DifyのWeb版の料金プランは以下のとおりです。
項目 | Free | Professional | Team |
料金 | 無料 | 59ドル/月 | 159ドル/月 |
無料クレジット | 200回 | 5000回/月 | 10,000回/月 |
チームメンバー | 1 | 3 | 無制限 |
作成可能なアプリの数 | 10 | 50 | 無制限 |
ベクトルストレージ | 5MB | 200MB | 1GB |
アップロードファイルサイズ | 50 | 500 | 1000 |
メッセージリクエスト数 | 1日あたり500 | 無制限 | 無制限 |
ログ履歴 | 15日間 | 無制限 | 無制限 |
カスタムツール | 利用不可 | 10 | 無制限 |
詳細は公式サイトを参照してください。
ローカルの場合無料クレジットはないので自分でLLMのAPIキーを設定する必要がありますが、Gemini1.5Proなど無料のLLMを使えば従量課金せずに無料で使えます。
Web版は環境構築不要で手軽に使える点がメリットです。
お試しでWeb版を使用してみて、あれこれ使いたいときはローカルにインストールして使う方法がおすすめです。
Difyの始め方
ここではDifyの始め方を紹介します。
DifyにはWeb版とローカル版があります。
Web版なら5分程度で開始できますが、ローカル版のほうが制限なく使えます。
以下ではWeb版とローカル版それぞれの始め方を紹介します。
Webの場合
WebブラウザでDifyを使う方法は非常にシンプルです。
アカウントさえ作成すれば、特別なソフトウェアをインストールする必要がなく、すぐに始められます。
私は登録から簡単なチャットボットを作るまで5分程度で終わりました。
メールアドレスだけでは登録できない点には注意しましょう。
以下では、Web版のDifyを利用する方法を紹介します。
①DifyのWebサイトにアクセスして「始める」をクリックします
②GoogleもしくはGitHubアカウントでログインします
③ログインが完了したらすぐに使い始められます
「アプリを作成する」からさっそくチャットボットを作成してみましょう。
チャットボットの作成方法についてはのちほど紹介します。
ローカル環境の場合
Difyはローカル環境でも利用できます。
システム要件もハードルが低く、Dockerを起動するだけで簡単に利用できるので、これまでAIをローカルで動かしたことがないという人でもこれを機会にチャレンジしてみましょう。
私は2年前に購入した3万円の中古PCを利用していますが問題なく起動しました。
>> 私が購入したPCはこちら
なお、Difyを利用するには事前にDocker Desktopをインストールしておく必要があります。
Docker Desktopのインストール方法や、ローカル環境構築手順については、以下の公式ドキュメントを参照してください。
以下では、Windows環境でDifyを起動するやり方を紹介します。
基本的には、MacやLinuxでも同じ手順で起動できるので、ぜひ参考にしてみてください。
①DifyのGitHubからソースコードを入手します。
Gitがインストールされている環境の場合は、以下のコマンドでクローン出来ます。
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
Gitをインストールしていない環境の場合は、DifyのGitHub からzipファイルをダウンロードして、任意のフォルダに回答してください。
②マシンにインストール済みのDockerDesktopを起動します
③①でダウンロードしたフォルダでコマンドプロンプトを起動します
④dockerフォルダに移動してからDockerを起動します
以下では①で「C:\Dify\dify」というフォルダにダウンロードした場合の例を説明します。
まずは、dockerフォルダに移動します。
PS C:\Dify\dify> cd docker
次にDockerを起動します。
PS C:\Dify\dify\docker> docker compose up
しばらく待つと起動が完了します。
最後に以下のコマンドを実行してすべてのコンテナが正常に起動しているか確認しましょう。
PS C:\Dify\dify\docker> docker compose ps
以下の7つのコンテナが起動していたらOKです。
⑤以下のURLにアクセスします
⑥管理者アカウントの設定画面でメールアドレス、ユーザ名、パスワードを設定します。
私はメールアドレス「test@aaa.com」という適当なものを入力して登録しました。
ローカル環境だとGoogleやGitHubアカウント不要で使える点は便利ですね。
⑦ログイン画面に遷移するので、⑥で登録したログイン情報を入力してログインします
以下のようにDifyのトップ画面が表示されればOKです。
Difyでチャットボットを作る方法
ここではDifyでチャットボットを作る方法を紹介します。
Difyでは、API連携をして他のサービスを呼び出したり、ワークフローを構築したりとさまざまなアプリが作れます。
応用的なAIアプリの作り方も今後別の記事で紹介する予定です。
Difyでチャットボットを作るやり方はWeb版もローカル版も同じです。
今回は無料で使えるGemini1.5 ProのAPIキーを設定してチャットボットを作成する方法を紹介します。
それではさっそく手順を見ていきましょう。
Gemini Pro(※無料)のAPIキーを設定する
Difyを使うためには各LLMのAPIキーを設定する必要があります。
Difyが対応しているLLM一覧は以下を参照してください。
Gemini1.5Proの料金については以下の公式サイトを参照してください。
ここでは、Gemini1.5ProのAPIキーを取得してDifyに設定するやり方を紹介します。
①Google AI Studioにアクセスします
②「Get API key」をクリックします
③「APIキーの作成」をクリックします
④プロジェクトを作成していない場合は、「Create API key in new project」をクリックします。
既にプロジェクトがある場合は、「Create API key in existing project」をクリックしましょう。
⑤APIキーが作成されました。となるので「コピー」しておきましょう。
ちなみに2024年5月14日以降、課金が有効になっているプロジェクトは課金されるようになりました。
課金が有効になっているかどうかは、プロジェクト一覧画面で簡単に確認できます。
以下のようにプランが「無料」になっていればOKです。
また、Google Cloudにログインして確認する方法もあります。以下ではGoogle Cloudにログインして確認する方法を紹介します。
まず、GoogleCloudにログインして「コンソール」をクリックします。
ダッシュボードから「課金」をクリックします。
このプロジェクトには請求先アカウントがありません、と表示されればOKです。
⑤④でコピーしたAPIキーをDifyに設定しましょう。まずは、Difyの設定画面を開きます。
⑥「モデルプロバイダー」をクリックし、Geminiの「セットアップ」をクリックします。
⑦④でコピーしたAPIキーを入力して「保存」を押します。
これでGemini1.5ProのAPIキーが設定できました。
チャットボットを作成する
それではいよいよチャットボットを作成していきましょう。
①アプリを作成するにある「最初から作成」をクリックします。
②「チャットボット」を選択しアプリの名前やアイコン、説明文を設定します。
③「手順」にプロンプトを入力します
④使用するAIは画面右上から変えられます。
Web版の場合は無料でGPT3.5モデルを200回利用できるため、デフォルトでgpt3.5が選択されています。
ローカル版の場合はデフォルトで利用できるモデルがないため、「LLMプロバイダーキーが設定されていません」と表示されているはずです。
せっかくなので先ほど設定したGemini1.5 Proに変更しましょう。
⑤プロンプトを入力したら「公開する」をクリックして「更新」しておきましょう。
これだけでテキストチャットボットの完成です。
チャットボットを利用する
最後に作成したチャットボットを利用してみましょう。
①画面右側の「公開する」から「アプリを実行」をクリックします
②別タブでアプリが起動するので「Start Chat」で会話を開始します。
③こちらの問いに返して返答を返してくれるAIチャットボットを確認できました。
Difyで作成したアプリはこのように直接URLを指定して動かすだけではなく、Webサイトに埋め込んだり、APIから呼び出したりできます。
たとえばWebサイトに埋め込みたい場合は、以下のようなHTMLコードをご自身のWebサイトに貼り付けるだけでOKです。
Web版であれば自身でサーバーを用意しなくても簡単にサービスが作れるので、ぜひ試してみてください。
Webの無料プランとローカル版の違い
最後にWebの無料プランとローカル版の違いについて解説します。
今回は私がWeb版とローカル版の両方を使ってみて感じた違いを紹介します。
私が実際に使ってみて感じたWeb版とローカル版の違いは以下のとおりです。
- ローカルではGoogleやGitHubアカウント不要
- ローカルではアプリ数の制限なし
- Web版にはGpt3.5の無料クレジットがある
それぞれについて説明します。
ローカルではGoogleやGitHubアカウント不要
ローカル環境でDifyを使う最大のメリットは、アカウントを作る必要がないことです。
WebブラウザからDifyを利用する場合は、Googleアカウントや GitHubアカウントを使ってログインする必要があります。
しかし、ローカルDockerでDifyを動かすのであれば、そうしたアカウントは一切不要です。
ローカル環境ではDifyのDockerイメージをPCにダウンロードするだけで、すぐに開発を始められます。
ユーザー登録の手間がかからないので、個人的な開発用途には非常に便利です。
プライバシーを気にする方にとっても、アカウント作成を避けられるのは大きな利点と言えるでしょう。
ローカルではアプリ数の制限なし
もう一つのローカル版のメリットは、作成できるアプリの数に制限がないことです。
Webの無料プランでは1つのアカウントで10個のアプリしか作れません。
複数のチャットボットを同時に開発したい場合は、有料プランに移行する必要があります。
特に複数のチャットボットを並行して作りたい個人開発者や、さまざまなアプリを検証したい企業にとっては、この自由度の高さが大きな魅力になるでしょう。
Web版にはGPT3.5の無料クレジットがある
逆にWeb版の利点は、GPT-3.5の無料クレジットが付与されることです。
APIキーの入力はハードルが高いと感じる方や、試しに使ってみたい方は、Web版から利用してみるのがおすすめです。
まとめ
Difyは誰でも手軽にAIチャットボットを作れるノーコードツールです。
本記事では、Difyの概要から始め方、実際の使い方までを初心者向けに解説してきました。
無料の「Gemini Pro」プランを利用すれば、APIコストを気にせずにチャットボットの開発が可能です。
Difyを使うには、Web版かローカル版を選択できます。
Webなら手軽に始められる一方で制限があり、ローカルは自由度が高い代わりに初期設定が必要になります。
チャットボットの作成手順は、Webの直感的UIでPromptと応答例を入力するだけの簡単な作業です。作成したボットはWebアプリで利用したり、APIで外部システムと連携させたりと、さまざまな活用が可能です。
Difyを利用することで、これまでAIの敷居が高かった人でもストレスなくチャットボットを開発できるようになります。
AIに興味があり、何か新しいことにチャレンジしたい人には最適なツールと言えるでしょう。
今回紹介した内容を参考に、AIの実践を通して学びを深め、ビジネスチャンスの新たな可能性を見出してみましょう。
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